高校生、浪人生に日々接している仕事柄、
直接の生徒たちはもとより、
親御さんとの接触もそれなりに密となる。
当然に親の心が痛いほど伝わってくる。
親は大学合格自体を望んでいるのではない。
子供の幸せを望んでいるのだ。
大学合格が子供の幸せにつながればこそ
希望の大学に合格してほしいと願うのである。
特に今は受験生が予備校を探している時期であるから
たくさんの親御さんと話をする機会が増える。
そこでひしひしと伝わってくるのが
子供のトータルな幸せを願う親の必死さである。
それはある意味、涙が出るほどのものだと言ってよい。
これはオーバーな表現ではないのである。
本当にそうなのである。
それを直接子供に示さない深い思慮と奥ゆかしささえある。
それが親なのだ。
それは子供にはなかなか伝わらない。
気付くのは数十年後になる。
これは仕方がないことであり、
いつの世も繰り返されてきたことである。
本人と親と私とで面談をしながら、
私と親との無言のコミュニケーションがある。
そうやって若者は育っていくものなのだ。
それでいいのである。
若者を深い愛情をもってちゃんと育てる、
それが失われない限り、社会はまだまだ大丈夫だろう。
何かと気難しく繊細な世の中であるだけに
今子育てはたいへんである。
学校や予備校は勉強の場であるが
教科の勉強だけの場ではない。
そのことを深く分かっている親たちがたくさんいる。
それを知れることが面談が増えるこの時期の
喜びである。